
この家の特徴は、四間取(田の字型の間取り)の1階フロアを、キッチンを除き、すべて琉球畳に置き換えたことです。あえて、フローリングにせず、天井が低い町家での圧迫感をなくすため畳敷きにすることで空間を低く使い、人数分の椅子がなく、どこにでも座ることができます。自然素材である畳の優しい色、質感が木材や障子との相性よく、インテリアスタイル『ジャパンディ』を表現しています。
テーブルと椅子を排除する代わりに、足を下ろして快適な「掘りごたつ」。炬燵内の足元はキッチンの床と同じ磁器タイルで、床暖房の蓄熱で暖かく、夏はひんやり冷たい感触です。

キッチンの床は、焼き締め風の磁器タイルを使いました。タイル下には床暖房となっており、蓄熱効果が高く、炬燵と同様、夏はひんやり。年じゅう快適に、キッチンに立っていられます。
後ろのキッチンカウンター(家電スペース)は、ヒノキのカウンターボードと自然釉の陶器を思わせる「窯変ボーダー」タイル。昔からあったような懐かしさとアクセントを添える彩りが嬉しいスペースとなりました。
食器棚は大正時代~昭和初期のアンティーク本棚を使用。レトロな格子と型ガラスが、現存する古い木材の梁とマッチし、目新しい木材との間を取り持ち、インテリアを落ち着かせます。(中の器も骨董品が多め)

キッチンの吊戸棚、システムキッチンのダイニング側、床の間周辺の本棚、ネットやオーディオ機器周辺機器収納などの引き戸や扉や建具は、青森ひば木材を使ったオーダーメイド。明るい黄色の白木色が高級な新築感を醸すのですが、古い木材の梁や渋いアンティーク家具と合わせると違和感が生じたので、すべて、柿渋染(2回染)を施してトーンを落ち着かせました。

床の間は、和の空間の『間』を留めてくれます。新しい狭小住宅では省かれがちですが、小さなのスペースでも上質空間に上げてくれます。ここだけは『見せ場』を作ろうと意識して、花を生けたり、絵画やお軸を掛けたり、観葉植物を置いたり。障子の向こう側はトイレへの通り庭(廊下)になっており、床の間の右側の書院にあたる壁には、透かしの障子を麻の葉柄の組子にしてガラスで挟みました。大工職人の素晴らしい手仕事の見せ所です。
壁は珪藻土と漆喰を混ぜた塗壁に。化学物質を使わず、むしろ、周辺で発生した悪い空気を吸い取って浄化くれる優れもの。実際に、建具を柿渋染を施した後は刺激臭がありましたが、大工さんによると、無臭になる時間が早かったそうです。
無垢の木材や漆喰壁、畳、磁器タイル、窯変タイル、真鍮鋳物など、昔から日本にある素材を利用して、馴染みの町家を再構築しました。
1階は全面畳の、裸足が気持ちのよい家。テーブルと椅子がなく広く見える空間で子供が駆け回っても滑らない、ほどよいグリップ感と自然の感触。「いまどき、広い面積を畳で仕上げるのは珍しい」と、畳屋さんに言われましたが、新しい生活様式に合わないとして、日本家屋から失われるのは惜しいと思います。
実際の生活を通して、使用感に関しては、いずれ、『オーナーズボイス』にてレポートさせていただく予定です。







